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農地転用


不動産・建設業者様をサポート

農地の転用等の申請手続きをお請けしております

 不動産仲介・管理会社の社員の方や、建設業者の社員の方が自ら、何度も役所に足を運んで、申請手続きを行っており、非常に時間がかかって大変だったというようなお話をお伺いする事があります。

 行政書士法では以下のように規定されており、行政に対する申請を支援しております。
 第一条の二  行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

 当事務所では、司法書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・税理士・測量士・弁護士等と強固なネットワークを築いております。

 こんな事は代行してもらえるの?という事がありましたら、お気軽にお声掛け下さい。

遊休地などに太陽光を設置する場合の建設業者様はご注意下さい

 建築一式工事の許可を有している場合、新築住宅の建築工事と同時に太陽光パネルを施工する場合には問題はないと解されますが、地上に設置する場合等は(建築物の請負ではない)電気工事業、基礎部分に関してはとび・土工工事業などの許可が必要になると解されます。

太陽光発電設備の販売者業者様からの照会と関係省庁の回答

  • (照会)営農の継続を前提として、「畦畔」(けいはん)に支柱を立てて太陽光発電設備を設置する場合、営農型通知が適用されるか否か?(回答)農地法上、畦畔と本地は一体的に農地として取り扱われるため、畦畔に支柱を立てて太陽光発電を設置する場合には、農地法の規制が適用されます。この場合において、畦畔通知により一時転用許可の判断がされますが、設備の下部の農地における営農の継続性については、営農型通知に基づいて判断が行われます。
  • (照会)仮に営農型通知が適用される場合、再度の一時転用の審査を受けている間に、一時転用許可の期間が満了した場合、直ちに当該設備の撤去が求められるのか? (回答)営農型通知が適用される場合、再度の一時転用許可の審査を受けている間に、一時転用許可の期間が満了した場合には、審査を受けている間は当該設備の撤去を求められることはありません。
  •  

農地で太陽光(ソーラーシェアリング他)

農地で営農の継続しつつ太陽光発電設備を設置する道が開かれました

 農林水産省は農地の一時転用許可という制度を創設しております。
 農用地区域内農地(農振除外が不要)、甲種農地又は第1種農地においても、太陽光発電設備を設置できる可能性があるという制度です。

 具体的には以下のような条件を満たす必要があります。

  1. 転用期間が3年以内(更新が可能)
  2. 簡易な構造の撤去できる支柱を立て、太陽光パネルを設置する
  3. パネル下部において、適切な営農が継続される事
  4. 支柱を含めた設備を撤去するのに必要な資力があること

 上記の要件について項目ごとに記載します。
 1.の条件について
 太陽光パネルを設置して3年で撤去するというのは現実的ではないので、当然、更新をしていかないといけませんが、更新する為に必要な条件もあります。
 2.の条件について
 この制度の特徴は、支柱部分の面積だけを転用するという点にあるでしょう。
 撤去可能なパイプなどを支柱として、農作物の上部にモジュールを設置します。
 3.の条件について
 農業の継続と、太陽光発電をセットとして考える制度ですから、適切な営農ができる状態でないといけません。
 具体的には、トラクター等の農業機械を効率的に利用できないといけませんので、支柱を立てる間隔等が問題となります。
 4.の条件について
 撤去費用等を有する事を残高証明等で立証する必要があるとされております。

更新の条件

 

  1. 営農を継続している
  2. 下部農地における単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較して2割以上減少していない
  3. 生産された農作物の品質に著しい劣化が生じていない
  4. 農作業に必要な機械等を効率的に利用できている

 2.の条件について考察してみます。
 営農型の農地の一時転用では、太陽光を作物と、太陽光パネルで分け合う形となりますので、パネルを設置した結果、日照量が低下して、作物の生育状況が悪くなり、減収という事になってしまってはいけないという事(2割以上)です。
 この点につき、植物における光飽和点という考え方を知っておく事が、参考になるはずです。

 植物にとって、日光が当たりすぎても生育に悪い(枯れてしまう)、またサトウキビやトウモロコシのように、日光量が多ければ多いほど良いという植物もあります。
 光飽和点が高くない(太陽光パネルである程度遮光しても問題ない)植物であれば、農地の上部にパネルを設置しても、生育に影響が無いという事になります。(天候や他の条件によって、必ずとは言えませんが)
 
 各植物の光飽和点 
 

  • イネ 40~50
  • ナス 40
  • キュウリ 55
  • キャベツ 40
  • など

耕作放棄地でのソーラーシェアリングについて

 農林水産省 実務用Q&Aより

 Q 営農型発電設備を設置する農地が耕作放棄地である場合には、営農の適切な継続が行われなくても、一時転用許可を行う事は可能か?

 A 営農型発電設備は、営農の継続を前提とするものです。このため、耕作放棄地に営農型発電設備の設置をする場合には、営農の再開が必要です。

 なお、耕作放棄の状態のままで営農型発電設備を農地に設置する場合には、当該農地の主な利用目的は発電施設の設置にあると認められるため、当該設備の下部の農地全体について(恒久的な)転用許可が必要となることにご注意下さい。

 Q 現況、耕作放棄地でも地域の平均的な収量の8割以上の収量を得る必要があるのか?

 A 耕作放棄されていた農地であっても、通常の農地と同様、営農型発電設備の下部の農地における単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較して概ね8割以上の収量を確保する必要があります。

営農型太陽光に関するその他の実務用Q&A(抜粋)

 Q 果樹等を接木、新植により栽培を開始する場合等一時転用期間中に収穫が見込まれない場合において、「営農の適切な継続が確実」(特に、地域の平均的な単収として概ね2割以上減少していないこと)はどのように判断すべきか?

 A 営農型発電設備の下部の農地において、果樹等を接木や新植により栽培する場合には、当初の数年間は収穫が見込まれない場合があります。そのような場合において、一時転用期間中に収穫が見込まれないとしても、当該設備の下部の農地において、整枝・剪定・施肥、摘果等の栽培管理が適切になされ、通常通りの生育段階に至っていることが確認できる場合には、「営農の適切な継続が確実」と判断して差し支えありません。

 Q 作物の指定はあるか?

 A 特にありませんが、キノコ類や観葉植物、サトイモなど、日照量がさほど多くなくとも生育への影響が少ない農作物を栽培するケースが多いかもしれません。

 Q 家庭菜園であっても、この制度にいう「営農」に当たるか?

 A 当たります。

 Q 農地の引き継ぎなどで新規に農業をする場合でも可能か?

 A 営農計画を立て、営農の適切な継続を確保できれば問題ありません。

どのような作物がソーラーシェアリング(営農型太陽光)に向いているのか?

 太陽光パネルのサイズや設置角度等により、遮光率が変わってまいります。また、地域の日照条件等に左右される部分がありますが、一般論として陰性植物や半陰性植物と呼ばれる生育に多くの日照量が必要ではない作物が向いているとされております。
 

陰性植物・半陰性植物

直射日光の当たらない半日陰から日陰を好み、一日1~2時間の日照でも育つとされているもの 半日(およそ3~4時間)位は直射日光が当たるところを好み、木漏れ日やレースカーテン越しの日照があれば育つとされているもの

  • せり
  • クレソン
  • しそ
  • らっきょう
  • ふき
  • にら
  • みょうが(光飽和点20klx)
  • みつば(光飽和点20klx)
  • シイタケ(更に低数値)
  • アザレア(光飽和点5klx)
  • シンビジウム(光飽和点10klx)
  • シクラメン(光飽和点15klx)
  • セントポーリア(光飽和点5klx) レタス(光飽和点25klx)
  • いちご(光飽和点25klx)
  • ねぎ(光飽和点25klx)
  • ほうれんそう
  • こまつな
  • かぶ
  • わさび
  • しゅんぎく
  • パセリ
  • じゃがいも
  • さといも(光飽和点30klx)
  • しょうが
  • アスパラガス(光飽和点40~50klx)
  • ピーマン(光飽和点30klx)
  • トウガラシ(光飽和点30klx)
  • いんげん

留意事項

 農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地に限らず、営農型発電設備の下部において営農を継続する場合には2種農地、3種農地であっても一時転用許可の対象となる。

 市街化区域内農地であっても、柱部分のみの恒久転用の届出により、営農継続型の太陽光発電施設が設置可能。

 通常の一時転用と同様に、他の土地での代替可能性を検討する必要がある。

アシタバとソーラーシェアリング

 ソーラーパネルを設置すると通常は作物の収量が減る事が多いとされております。そのような事から農水省のQ&Aでも一定の減収までは許容するとしています。
 しかし新品種アシタバの場合には実証研究の結果ソーラーパネルの下部の方が収量アップするという事のようです。(東京大学大学院理学系研究科さんの実験によると)
 
 農地の一時転用申請をする場合には必要な書類として「必要な知見を有する者の意見書」がありますが、上記の研究データを利用すれば農業委員会としても拒否する理由は無いと考えられます。

サカキとソーラーシェアリング

 岐阜県内でもサカキを栽培する計画で農地の一時転用の許可がでている事例があるようですが、サカキに関しては遮光が必須である事が試験研究によって実証されているとの事です。(60%程度の遮光率が適している)
 逆に遮光せずに露地栽培すると生長及び枝葉の品質が劣化してしまうようです。

 サカキに関しては、営農者の高齢化が進み需要に対して供給が追い付いていないようで、高品質な物が栽培できれば、確実に売れると言われているとの事です。

 収益が上がらない→耕作しなくなる。という大きな問題点を解消できる可能性を秘めた植物であると考えます。

第1種農地で太陽光発電が可能な場合とは?

     

  • 現在、雑種地を利用して売電目的の太陽光パネルを設置しているというケースで、隣接する1種農地にパネルの増設をするような場合には、例外的に「既存施設の拡張」という事で、拡張に係る部分の敷地の面積が、既存の施設の敷地の面積の2分の1を超えない場合には、例外的に転用許可がされる場合がある。
  • 売電目的で太陽光発電設備を設置する為に、1種農地以外の土地と1種農地を一体的に利用し転用したい場合、「隣接する土地と一体として同一の事業の目的に供する場合」という事で、第1種農地の割合が全体面積の3分の1を超えず、且つ、甲種農地の割合が5分の1を超えない場合には例外的に転用許可がされる場合がある。

 
 

違反転用について

農地法の趣旨を潜脱する行為は認められません

 最近、多いとされる事例として農業経営の合理化に資する施設を建設するとして農地法4条や5条の許可を得た上で、許可目的と異なる住宅や、倉庫、事務所等に用途を意図的に変更する事例があるようです。

 既に発生してしまっている他用途への転換案件に対しては、転用許可申請が詐偽その他の不正な手段で行われている場合には処分その他違反を是正するために必要な措置を行うこととされおります。

 原状回復命令がされたにもかかわらず、この命令に従わないものについては農地法第51条第3項の行政代執行の規定に基づき原状回復措置が行われ、刑事責任を追及するため告発する等の厳正な対処がなされるとされております。

 

農地転用全般の問題

農地転用と開発許可との関係

 都市計画法では、都市計画区域の内外を問わず、開発行為を行う者は原則として都道府県知事の許可を受けなければなりません。
 開発許可と農地転用許可の双方が必要とされる場合は、開発許可の見込みがなければ転用の許可をする事はできないとされております。

農地の売買契約を解除した場合

 売買契約の解除が、債務不履行による場合には法律上の効果として契約が遡って消滅するため農地法の許可は不要です。一方合意による解約や約定解除の場合には当事者の意思に基づくものであるため、農地法の許可が必要となります。

植林の為の農地転用

 農地に植林する場合には、農地転用許可が必要となります。
 転用許可の基準に関しては以下の通りとなります。

  • 農用地区域内農地・・・許可されません。
  • 甲種農地・第1種農地・・・原則許可されません。なお、森林法25条に基づき農林水産大臣から保安林としての指定を受ける場合には、例外的に許可を受けることができる。
  • 当該農地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができないと認められる場合には、許可を受ける事ができます。
  • 第3種農地・・・許可を受ける事ができます。

農地の賃貸借の対抗力

 農地等の賃貸借については登記がなくても農地等の引き渡しをもってその後に物権を取得した第三者に対抗ができる(農地法16条)

農地を相続した場合の相続登記に許可書の添付は必要か?

 農地を相続した場合には、被相続人の死亡という事実によって、相続人の意思にかかわらず法律上当然に権利移転が生じた事になるので、農地法の許可は不要となります。(その旨の届出は必要)
 また、遺産分割によって農地の所有権を移転する場合も、遺産分割は相続開始時に遡ってその効力を生じる(民法909条)とされている事から農地法の許可は不要となります。

農地に質権を設定する場合には農業委員会の許可を要するか?

 結論から言いますと許可を要します。許可を要する権利には、所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借があります。
 なお、抵当権については「土地を使用及び収益する権利ではない」ので許可を要しません。

遺産分割による農地の権利移転には農業委員会の許可を要するか?

 遺産分割は、農地法第3条第1項第12号において許可の適用除外とされております。

包括遺贈・特定遺贈の場合に農業委員会の許可を要するか?

 農地が包括遺贈された場合には、許可は不要です。
 一方特定遺贈については、受遺者が相続人である場合に限り許可が不要となります。

農地の地目変更に関する行政通達

 昭和56年8月28日付法務省民三第5042号民事局長通達において、農地を農地以外の地目への地目変更登記の申請があった場合は、農地に該当しない旨の証明書又は農地転用許可証の添付がなければ、登記官が農業委員会に対して照会を行い、その回答を待って登記の処理を行うとされております。
 不動産登記法による地目認定と農地法の統制規定との相互の運用の円滑化を図るための調整措置として重要な役割を果している通達と言われております。

農地に植林した場合にどの時点で山林と認められるか?

 地目変更を行う場合には、現況が山林であると認められる状態になっている必要があります。
 植林後数年を経て完全に根がついた状態で永続的な山林と認められれば地目変更が可能と考えられます。
 (登研429号)によると以下のように説明されております。
 農地法4条の許可を受け農地を山林に地目変更するため植林をした場合、植林をしただけの状態では農地から山林に地目変更があったとは認められず、植林後数年を経て完全に根がつき永続的な山林と認められる状態となった時に地目変更があったものとみるべきである。

農地取得後3年間の転用制限

 3条許可により農地を取得した目的は農業経営を行うためであるから、相反する転用目的として申請は特別な事情がない限り3条許可を受けてから3年間は認めないもの。
 なお、岐阜県だけでなく、愛知県等においても概ねこの期間により運用されている。

隣地承諾書の添付は必須か?

 平成8年6月25日付農政内754号の2農地部長通知「農地転用関係事務処理の迅速化及び簡素化等について」により、隣地承諾書を添付しなくてもよい旨の通知がされている。
 よって、隣地承諾書が添付されていない事で申請の受付を拒否する事はできない、ただし、転用によって生じる周辺農業への被害防除措置が図面等により明示されている必要がある。

土地改良区の意見書

 Q 土地改良区の意見書は、補助金返還の対象となる期間を経過した転用についても必要か?

 A 土地改良事業の新旧を問わず、土地改良区が存在する限り農地転用許可申請に添付を要する。

砂利採取の為の農地転用

 砂利採取を目的とする農地転用は、砂利の採取計画の認可(岐阜県知事)を受け、採取計画の期間内において一時的に認められる為、恒久転用は不可となり、一時転用となります。

 また、賃借権などの所有権以外の権利である事が必要です。

農地に関連する判例

農地に関する判例をご紹介致します

農地か否かに関するもの

  • 一定の土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培する事実が存在する場合には、その土地は耕作の目的に供される土地であって、農地調整法にいわゆる「農地」と称されるを相当とする。したがって農地であるか否かは客観的状態に従って判断されるべく、土地所有者の主観的使用目的に関係なく、土地台帳等に記載されている地目いかんによっても左右されない。(福岡高判昭27.10.2)
  • 土地に種をまき、これを栽培管理している牧草畑は農地である。(札幌地判昭39.6.22
  • 農地とは「耕作の目的に供される土地」であり、耕作とは土地に労費を加え、肥培管理を行って作物を栽培することをいい、その作物は、穀類にとどまらず、植物等を広く含み、それが林業の対象となるようなものでない限り、永年制の植物でも妨げない。(最判昭40.8.2)
  • 生け垣によって付近の農地と隔離され、野菜が家庭菜園程度に栽培され、かなりの面積が荒地のまま放任され、栽培者らが農業を営む者でなく、かつ地目が宅地に改められている等の事実がある土地は宅地と認めるのが相当である。(大阪地判昭33.8.18)
  • 所有者が建物敷地にするため水田を埋め立てた土地について、隣家の小料理及び鍛冶業を生業とする者が空地利用として自家用野菜を栽培している場合農地調整法2条にいう農地に当たらない(裁判昭33.10.24)

許可申請の協力義務

  • 農地の売買契約を締結するに当たり、たとえ知事の許可を要件としなくとも、売主は、契約上当然に買主に対し契約の効力を完全ならしめるため、知事に対する農地所有権移転の許可申請に協力する義務がある。(横浜地判昭39・11・28)
  • 農地の売主は知事に対し、所定の許可手続をなすべき義務を負担し、もしその許可があったときは買主のため所有権移転手続をなすべき義務を負担する。
  • 農地売買契約に基づく所有権移転許可申請協力請求権は、売買契約に基づく債権的請求権であり、民法167条1項の債権に当たると解すべきであって、売買契約成立の日から10年の経過によって時効によって消滅する。(最判昭50・4・11)

農地法5条の許可の性質について

  • 農地の売買は、公益上の必要に基づいて、知事の許可を必要とせられているのであって、現実に知事の許可がない以上、農地所有権移転の効力は生じない。(最判昭36・5・26)
  • 農地所有権の移転に必要な知事の許可は、当事者の意思により附加せられたいわば任意的な条件ではなく、法定の必要条件である。(大阪高判昭40・12・21)

農地法違反について

  • 農地法第4条1項違反の内容となる犯罪行為は、都道府県知事の許可を受けなかったことにあるのではなく、許可を受けることなく農地を農地以外のものにする行為、すなわち無許可で農地を潰廃する事実行為をなすことをいうものと解すべきであり、農地を農地以外のものにしたというためには、行為者がこれを宅地化する目的をもっている場合であっても必ずしも家屋建築工事に着手する必要のないことはもちろん完全に宅地としても外観を整えることも必要でなく、農地をもはや農地として使用できないようにすること、すなわち肥培管理を不能若しくは著しく困難ならしめ、耕作の目的に供せられる土地とはいいがたい状態にすることをもって足りるものといわなければならない。(最判昭41・5・31)

許可の基準に関するもの

  • 事が農地の所有権移転の許可を与えるかどうかは、いわゆる自由裁量には属さず、農地法3条2項各号に掲げる事由及びこれに準ずる事由のない限り、許可を与えるべき義務がある。(高知地判昭和33・9・3)
  • 農地法3条又は5条に基づく許可は、農地法の立法目的に照らして、当該農地の所有権移転等につき、その権利の取得者が農地法上の適格性を有するか、否かのみを判断して決定すべきであり、それ以上に、その所有権の移転等の私法上の効力やそれによる犯罪の成否等の点についてまで判断してなすべきではない。(最判昭42・11・10)

相続に関連するもの

  • 「遺言者は、次の通り遺産分割の方法を指定する。長男A農地、二男B農地」とする遺言公正証書を添付してした「相続」を登記原因とする所有権移転登記の登記申請は、これを受理して差し支えない(昭47・8・21民事局長回答)

5条許可に対する隣接農地所有者の原告適格

 農地法第5条所定の許可の制度は、効率的な農地の所有・利用関係を調整し、農業生産力の安定、向上を図る事を目的としているのであって、隣接農地の所有者の有する、日照、通風等の具体的権利を直接保護するものではないとされ、これらの者は当該許可の取消しを求める法律上の利益を有しないとされております。

転用許可の効力

 既に事実上転用された農地につき転用を許可するのは、違法状態を将来に向かって消滅させる効果を持つものであり、換言すれば、当該処分以後申請人をしてその土地を農地以外の用途に使用する自由を得させるのであって決して不能の行政処分ということにはならない(その許可は無効ではない)(最一小昭34・1・8)

農地法の許可がない場合に、買主に引き渡された農地の返還請求ができるか?

 農地の売買において農地法所定の許可のない間に農地の引き渡しがなされた場合、その引渡しを受けた者は、許可のない間は、売買契約による債務の履行として引渡しを受けたことを理由に、その農地の返還請求を拒むことは許されない(最三小判昭37・5・29)

農地の賃貸借契約

 農地法21条の規定は、農地行政上の要請に基づくものであるため、農地賃貸借契約の締結に際し、本条所定の書面を作成しなくても、その農地賃貸借契約が無効となるわけではない(最一小判昭40・3・4)

農地のまま売買(3条)

農地の売買(賃貸借等)をする場合に必要な許可を3条の許可と言います

 農地を所有されている方であればご存知の方が多いですが、下限面積という考え方があります。
 
 簡単に言いますと「一定規模以上の農地を持っていない場合には農地の取得ができない」というものです。

 東濃地域の市町村の下限面積は以下の通りです。

 恵那市30a(3,000㎡) 中津川市30a 瑞浪市・土岐市・多治見市20aとなっております。

 また、上記以上の農地を所有されている方の場合であっても、「耕作を放棄している農地があるのに更に農地を取得したい」というような場合には正当な理由が必要になります。

下限面積要件の例外

  • 権利の取得後における耕作の事業が草花等の栽培で、その経営が集約的に行われるものであると認められること
  • 権利を取得しようとする者が、農業委員会の斡旋に基づく農地等の交換によりその権利を取得しようとするものであり、かつ、その交換の相手方の耕作の事業に供すべき農地の面積の合計または耕作等の事業に供すべき採草放牧地の面積の合計が、その交換による権利の移転の結果、下限面積を下回ることとならないと認められること
  • その位置、面積、形状等からみて、これに隣接する農地等と一体として利用しなければ利用することが困難と認められる農地等につき、当該隣接する農地等を所有権に基づいて現に耕作等の事業に供している者が所有権を取得すること

3条の規制の趣旨

 農地等の権利移動の規制は、不耕作目的、投機・投資目的での農地等の取得を排除し、農地を自ら耕作しようとする者が取得できるようにし、土地利用の効率化を期する為のものです。

許可を得ていない農地の賃借は

 農地法の許可を受けずに農地を賃借し耕作しているという場合、どういう状態かと言いますと、「権利の設定や移転の効力は生じていない」という事になります。
 また、許可を得ていない上記のような行為は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」という刑罰が科される事とされていますから、そのような状態にある方は早急に違反状態を是正する必要があります。

3年間の転用制限について(農地事務の手引きより)

 
 3条許可により取得した時の目的は農業経営を行うためであるのに、相反する転用目的とした申請は特別な事情がない限り、3条許可を受けてから3年間は認められない。(愛知県・岐阜県)

農地法3条の許可要件「全てを効率的に利用して」とは?

 農地法3条2項1号では「所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を取得しようとする者又はその世帯員等の耕作又は養畜の事業に必要な機械の所有の状況、農作業に従事する者の数等からみて、これらの者がその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地のすべてを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認められない場合は権利移動は許可されないとしております。

世帯員の範囲について

 旧農地法では世帯員の定義について「住居及び生計を一にする親族(疾病又は負傷による療養、就学、公選による公職への就任及びその他農林水産省令で定める事由により一時的に居住又は生計を異にしている親族を含む。)とされておりましたが、改正により、世帯員を世帯員としてその範囲を拡張し、「住居及び生計を一にする親族並びに当該親族の行う耕作又は養畜の事業に従事するその他の二親等内の親族」とし、「疾病・負傷による療養、就学、公選による公職への就任及びその他農林水産省令で定める事由」とされました。

 住居及び生計が同一でない親族であっても、その親族の行う耕作又は養畜の事業に従事する二親等内の親族であれば、世帯員等とされる事となっております。
 
 

 

営農型太陽光のこと

ソーラーシェアリングの可能性

 「里山発電」という書籍をご存知でしょうか?

 ダイヤモンド社から出版されている書籍で株式会社ルネサンスエコファームの中村鉄哉氏が執筆されています。

 この書籍は、ごく簡単に言いますと中村氏ご本人が営農型発電設備を導入されるまでの道のりや、困難、営農型発電設備のもたらす里山再生の可能性がリアルに描かれています。

 営農型太陽光発電の導入を考えている農家さんや設備の設置業者さん、同業の行政書士さんなどにお勧めしたいと思います。

 僕は前職の時代からこんな声をよく耳にしていました。「頑張って体にムチ打って田んぼをやっても、全然儲からん、やっとる事は緑を守るボランティアや」 私の実家にも田があり子供の時から農作業を手伝った事は何度もありますが本当に大変です。

 これだけ大変な思いをしながら「儲からん」「体がしんどいだけ」というのでは本当にたまらないと思います。

 先祖代々の農地を守ってきて、その農地がお荷物になるというのは何とも言えない事です、農地を守ってきた事を「頑張ってきてよかった」と思えるようになるべきだと思います。

 農業をやってもっと儲かれば後継者不足の解消にも資するだろうと思いますし、後継者がいるという事は都市部に流出し続ける若者が地元に残るという事だと思います。

 この営農型太陽光発電は中村氏のお言葉をお借りすると「地方創生の切り札」であると思います。

 この制度は適切な営農を継続する事が条件となっております。

 私ども行政書士は太陽光発電の設備の設置工事もできないですし、農業のお手伝いをする事もできません。

 お役に立てるとすれば、農地の一時転用の許可申請をお手伝いできるだけです。 ほんの少しのお手伝いしかできませんが、このような制度が東濃地域(多治見・土岐・瑞浪・恵那・中津川)でも広がっていく事を願っています。

 その一助になればと考えております。

 ※ 以上のような考えでサポートを行っておりますので、単に許可だけ得て「営農をする気がまったく無い」というような場合にはそもそも許可が取得できませんし、ご相談もお受けできません。

営農型太陽光発電の遮光率の問題

 この制度は営農を継続する事を条件として転用が許可されます、よって遮光率の問題がついて回ります。
 岐阜市において野田建設さんが施工された事例ですと、遮光率は60%程度下部の農地ではサカキを栽培するという計画で転用許可がでているようです。

 遮光率が何%あればOKとかNGという問題ではなく、下部の農地で作る作物がどの程度の日照を必要としているのか?という事が重要となります。

 ソーラーシェアリングの考案者である長島 彬氏が実証実験等に基づいて奨励されている遮光率は以下のようなものです。

 控えめな遮光率:空中のパネル面積÷架台設置面積で32%以下にという数字が示されております。

 以下にCHO技術研究所の長島氏のサイトをご紹介致します。

 CHO技術研究所

 また、営農型(ソーラーシェアリング)の為の一時転用申請時の遮光率の計算式に関しては、行政より以下のような計算式が示されております。

  

パネル面積÷設備下部の農地面積(設備直下の面積+設備により日影が生じる面積)=遮光率

 上記計算式については、高知県庁、農業振興部様のHP内のPDFデータから引用

書籍「里山発電」の一節

 今、日本の耕作放棄地は約40万ha存在するという。埼玉県とほぼ同じ広さだ。長期減反地は公表されていないが、その10倍近くはあると考えられる。
 耕そうにも耕し手がいない。あるいは満足に収益を上げられないか、耕さずに保証金をもらうほうが「儲かる」。だから放棄したり、減反地にされたりしているのだ。
 では、仮に耕作放棄地40万haすべてをソーラーシェアリングに変えることができたとしたら、マクロ的にどのような変化が起きるだろうか。
 年間原発10基分ほどの発電は、ゆうに確保できる計算になる。
 問題は、常に太陽が出ているわけではなく、夜間は当然発電できないため、蓄電システムとの組合せが必要になることだ。
 ただでさえ財政難なのに、そんな財源はない、と思われるかもしれない。では、戸別保障に使っていた5000億円を投じればいい。もちろん、今までその恩恵を受けてきた人にはとんでもない話だろう。
 しかし、読者諸氏はどう感じるだろうか。
 すべての納税者にアンケートを取ってみたら、どんな結果が出るだろうか。
 同じ額の税金を使うなら、新しい仕組みみ、世の中を変えるものに使ったほうが有効であり、マクロ的な幸福に近づくと考えるのが、自然な流れではないだろうか。 (里山発電より引用)

全国各地のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電設備)設置例

 私の知る限りでは以下のような設置事例があるようです。

設置場所 作物等
愛媛県今治市 水稲(米)農地の約950㎡に設置し、ヒノヒカリ約7俵を収穫、太陽光設備設置前の同収穫量を確保
愛媛県八幡浜市 農地約1,000㎡に設置し、清見タンゴールを栽培
愛媛県八幡浜市 農地約1,000㎡に設置し、みかんを栽培
岐阜県 さといも、こまつな、サカキ等を栽培
新潟県 みょうがを栽培
千葉県 ショウガ・ふきを栽培
京都府 サツマイモ
千葉県 梅の木を栽培
茨木県 あしたば
高知県 しいたけ

営農型(ソーラーシェアリング)の農地転用の申請に必要な書類(福井県の事例)

 通常の農地転用の場合においても、多数の添付書類の提出が求められ、土地所有者さんが自ら転用許可申請をする事は大変であったり、建設業者さん、太陽光発電業者さんも非常に手間がかかる為、我々行政書士にご依頼をいただく事が多い「農地転用」ですが、営農型(ソーラーシェアリング)の農地の一時転用となると、通常以上に多くの書類の提出が求められる事になります。

 当事務所が代理申請させていただき許可を取得したケース(福井県)では以下のような書類の提出が求められました。(各県によって必要書類は若干異なる)

 

  • 農地法第4条(5条)許可申請書
  • 土地の登記事項証明書
  • 住民票・戸籍の附票等
  • 土地所有者の同意書(賃借人等が転用を行う場合)
  • 賃借権解約等に係る許可申請書写し又は通知書の写し(農地法18条の手続きが必要な場合)
  • 転用同意書(地役権が設定されている場合等)
  • 法人の登記事項証明書(申請人が法人の場合)
  • 法人の定款又は寄付行為(申請人が法人の場合)
  • 相続関係が確認できる書面(登記名義人の死亡後、相続登記が未了の場合、遺産分割協議書等が必要となる)
  • 位置図(最寄りの駅、インターチェンジ、役場からの位置が分かるもの)
  • 公図(字絵図)の写し(隣接土地の地目、現況、所有者、耕作者等を記入)
  • 周辺土地利用状況図
  • 申請地を含めた周辺の現況写真
  • 地積測量図(1筆の内の一部に設備を設置する場合)★営農型の一時転用の場合、許可の性質上転用面積は支柱のみとなる為、通常は1筆の中の一部となる、当事務所にて申請したケースでは正確な測量図は添付していない
  • 事業計画書(事業を行う理由、土地選定理由を詳細に記載。周辺農地への被害防除対策、隣接農地所有者及び耕作者への転用事業の説明状況も記載。営農型の場合は、農作物の長期生産計画・収支計画も併せて記載
  • 土地利用計画図(土地利用計画を詳細に記入し、位置・隣接境界・施設間の距離を明記)
  • 農地以外の一体利用地の一覧表
  • 設備の平面図・立面図(パワコン等の設置位置、電力会社の電線との接続位置、支柱の間隔、高さ、埋込深さなどを明示)
  • 排水計画図(放流先を明示)
  • 設備下部の農地での営農計画書(ア営農継続の実現性の確認イ収量の減少が2割以内であることの確認ウ品質の著しい低下が無いことの確認エ作業の効率的利用が可能かの確認オ設備の設置に伴い、計画的に生産性の高い作物に転換を行わざるを得ない場合は、転換前の作物と比較し、収益の減少及び品質の劣化が生じないことを確認)
  • 設備下部の農地における営農への影響見込み及びその根拠となる関連データ又は必要な所見を有する者の意見書
  • 転用に要する資力を証する書面(残高証明書など)
  • 転用に要する経費(太陽光パネル購入費、設置工事費等)に係る見積書の写し
  • 支柱を含む設備の撤去費用の負担について、当事者間で合意されている事を証明する書面(5条申請のみ)
  • 支柱を含む設備の撤去経費に係る見積書の写し
  • 支柱を含む設備の撤去に必要な資力を有することを証明する書面(残高証明書等)
  • 隣接農地所有者・耕作者の意見書(隣接地が農地であり、営農に影響が及ぶ可能性がある場合)
  • 土地改良区の意見書(申請地が土地改良区内にある場合
  • 水利権者の意見書(取水・排水についての水利権者の同意書)
  • 経済産業大臣による再生可能エネルギー発電設備認定に係る書類(大臣による認定書等)
  • 太陽光発電設備等の概要について記した書面(発電出力、年間予測発電量、支柱の仕様、支柱の固定方法、パネルの設置角度、設備の耐用年数、売電単価、年間発電見込額等)
  • 近隣住民への説明等が確認できる書面
  • 近隣農地所有者への説明等が確認できる書面
  • 自然保護、景観等との調整が確認できる書面
  • その他農業委員会が検討に必要な書面

営農型太陽光実務Q&A

農水省営農型発電設備の実務用Q&A

 営農型の農地の一時転用を考えた時、不明な点が多くあるかと思います。 以下の実務用のQ&Aから参考になると思われるものを抜粋しご紹介致します。

営農型発電設備は、太陽光発電のみが対象か?

 主に太陽光パネルを想定していますが、小規模風力発電設備も対象となる。また、周辺機器(パワーコンディショナー等)も対象となる。

通常の一時転用の場合、他の土地での代替可能性を検討しなければならないが、営農型発電設備の場合も代替性の検討が必要か?

 通常の一時転用と同様に「当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められること」という要件を満たす必要があります。よって、土地の選定理由(送配電用の電気工作物との距離)や第3種農地・第2種農地に設置可能な農地がないか等を確認する必要があります。

再度一時転用許可が可能とされているが、回数に制限はあるか?

 再度の一時転用許可の回数に制限はありません。

営農型発電設備の設置後、営農者が高齢化や疾病等を理由に営農を廃止した場合、設置者は当該設備を撤去しなければならないか?

 営農型発電設備は、営農の継続を前提とするものであり、営農に支障がないことを確保する必要がある。 この為、下部の農地において営農が行われない場合には、許可を受けた者に対して適切な営農を行うように指導するとともに、適切な営農が行われない場合には、設置者に営農型発電設備の撤去を命じる必要があります。
 また、疾病や怪我による営農の一時的な中断の場合には、営農再開の見込みを確認し、転用期間中に営農再開が見込まれる場合には、撤去を命じる必要はありません。(なお、営農が一時的に中断している状態では、原則として、再度の一時転用許可は認められない)

営農型発電設備の支柱に係る一時転用許可は、どのような許可条件を付して行うべきか

 原則として次の条件を付して行う。なお、事案の事情を踏まえて、他の条件を付したり、条件の内容を変更する等して適切な運用に努めて下さい。
 

  1. 申請書に記載された事業計画に従って事業の用に供すること。
  2. 営農型発電設備の下部の農地における営農の適切な継続が確保され、支柱がこれを前提として設置される当該設備を支えるためのものとして利用されること。
  3. 許可に係る工事が完了するまでの間、本件許可の日から3ケ月後及びその後1年ごとに工事の進捗状況を報告し、許可に係る工事が完了したときは、遅滞なくその旨を報告すること。
  4. 営農型発電設備の下部の農地において生産された農作物に係る状況を、毎年報告すること。また、報告内容について、必要な知見を有する者の確認を受けること。
  5. 営農型発電設備の下部の農地において営農の適切な継続が確保されなくなった場合又は確保されないと見込まれる場合又は営農型発電設備による発電事業を廃止する場合には、遅滞なく、報告すること。また、営農型発電設備を改築する場合にはあらかじめ報告すること
  6. 申請書上の事業期間が3年以上であれば、農地の賃貸借契約の期間が3年を超えている場合でも、一時転用許可が受けられるか?

     営農型発電設備の支柱を設置する農地に係る賃貸借期間は、一時転用許可申請書における事業期間(3年以内)と同じである必要があります。 なお、再生可能エネルギーの固定買取期間は、再生可能エネルギー発電設備に対して保証されているものであり、設置場所の利用期間とは関連ありません(経済産業省資源エネルギー庁に確認済)
     例えば、農地について3年間借りて太陽光パネルを設置した場合であっても、当該パネルについて、買取期間が20年間保証されます)

    太陽光パネルの設置者と営農者が異なる場合、下部の農地について、なぜ3条許可が必要なのか?

     営農型発電設備の空中部分を利用するため、設置者が営農者から区分地上権又は賃借権等の設定を受けて営農型発電設備を設置する場合、農地に権利を設定することとなるため、3条許可が必要となる。
     なお、支柱部分については、転用されることになるので、5条許可の対象となる。
     (設置者と営農者が同じ人物であれば支柱部分は4条許可の対象となるという事です)

    営農型発電設備は、建築基準法上の建築物に当たるのか?

     営農型発電設備の建築基準法上の取扱いについては、国土交通省から「農地に支柱を立てて設置する太陽光発電設備の建築基準法上の取扱いについて(技術的助言)」が通知され、次のいずれにも該当するものは建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当しないこととされております。
     

    • 特定の者が使用する営農を継続する農地に設けるものであること
    • 支柱及び太陽光発電設備からなる空間には壁を設けず、かつ、太陽光発電設備のパネルの角度、間隔等からみて農作物の生育に適した日照量を保つための設計となっていること

       ※具体的な適否については、都道府県の建築指導担当部局に相談する必要があります。

    営農型発電設備の設置のために、作物転換することは認められるのか?

     営農型発電設備は、下部の農地において営農を継続しつつ、これに支障を与えないよう発電事業を行うものです。このため、当該設備の設置を契機として農業収入が減少するような作物転換等をすることは望ましくありません。
     この為、作物転換する場合には、当該作物の営農技術・経験の有無等を確認し、営農の適切な継続が確保されること(例えば、当該設備の下部の農地における単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減収するおそれがないと認められること等)や販売先の見込み等農業収入が減少しないこと等を確認した上で許可の可否を判断することが適当です。
     
     
        

宅地造成のみの転用

宅地造成のみを目的とした農地転用

 建築物等の設置までは行わない土地の造成のみを目的とした農地転用は、造成後に土地が遊休化する可能性があり、投棄的な取引の危険があるため、原則として認められない事となっております。

例外的に宅地造成のみの農地転用が認められる場合

 

  • 都市計画法8条1項1号に規定する用途地域が定められている土地の区域内において工場、住宅その他の施設の用に供される土地を造成するため農地を農地以外のものにする場合であって、当該農地がこれらの施設の用に供されることが確実と認められるとき
  • 都市計画法12条の5第1項に規定する地区計画が定められている区域内において、同法34条10号の規定に該当するものとして同法29条1項の許可を受けて住宅又はこれに附帯する施設の用に共される土地を造成するため農地を農地以外のものにする場合であって、当該農地がこれらの施設の用に供されることが確実と認められるとき

上記の「施設の用に供されることが確実と認められるときとは?

  • 申請地の地域性、公共公益施設の整備状況、市街化の発展状況等から、速やかに建物等が建設されると認められる場合
  • 宅地分譲契約に建築条件等が付され、一定期間(最長2年)内に建設を行わない場合には買い戻す旨の規定があり、建築物の建設が確実であると認められる場合
  • 事業計画等から施設の用に供することが確実であるか否かを判断するが、申請者が過去に建売分譲等で十分な実績・信用があり、農地法その他の法令に違反したことがなく、建物等の建設が確実であると認められる場合

農地を相続した場合届出が必要

農地を相続した場合には届出が必要となります。

 農地を相続した場合に、その届出を農業委員会に対してする必要があります。
 当事務所にて遺産分割協議書などのご依頼をいただいた場合には、農地が含まれているか点検し、代行して提出しておりますが、心当たりのある方は届出を忘れないようにご注意下さい。

何で農地の届出が必要なのか

 相続した方は地元を離れていて、農業を継続できない場合に、そのままにしてしまうと田畑が荒れてしまいます。農業委員会が借りてを探す為の助言をしてくれたり、管理についての相談にのってくれたりしますので、その為に届出が必要とされました。

農地を相続した場合の権利取得の届出はいつまでに行うのか?

 権利を取得したことを知った時からおおむね10カ月以内の期間内に届出を行うとされております(基準通知)
 

農地法が改正される前の相続の場合

 平成21年12月14日までに発生した相続の場合には、改正法の適用が無い為、届出は不要とされます。
 しかし、上記相続に関する遺産分割協議が平成21年12月15日以降になった場合には届出が必要です。

どのような内容の届出をするのか?

  • 権利を取得した者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名)
  • 権利を取得した農地又は採草放牧地の所在、地番及び面積
  • 権利を取得した事由及び権利を取得した日
  • 取得した権利の種類及び内容

農地を相続したが自分では耕作ができない場合

 上記の届出を行う際に、「農業委員会によるあっせん等の希望の有無」を申告できますので、耕作者を紹介してもらえる可能性もあります。

お問い合わせはこちら

行政書士 西尾法務事務所 行政書士 西尾友宏
所在地 〒509-7205 岐阜県恵那市長島町中野1203-48
電話 0573-26-4877 FAX 0573-38-0091
メール info@gyouseishosi.gifu.jp
営業時間 10:00~18:00(日・祝日休み)メール相談は24時間OK
※緊急の場合は可能な限り対応させていただきます。
当事務所では司法書士・税理士・不動産鑑定士との強固なネットワークにより依頼者様をサポートさせていただきます。

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